第1回目では、お子さんのかんしゃくは「言葉にできないヘルプサイン」であり、その背景には
- 言葉にできないイライラ
- 先を見通す力・感情をコントロールする力の未熟さ
- 未知のこと・変化への不安
- 感覚過敏による不快感
この4つの主な理由があることをお伝えしました。
原因を知ることで「ワガママではないんだな」と多少気持ちは楽になると思います。
けれど、それだけではかんしゃくを収めることはできませんね。
かんしゃくを繰り返しているうちに、ちょっとしたことで度々かんしゃくを起こすようになる。
かんしゃくが、習慣化してしまうことがあります。
実は、周囲の大人の対応次第では、子どもはかんしゃくを「要求を通すための手段」と誤って学習してしまいます。
今回は、この習慣化を防ぐための予防策とコツに焦点を当ててみたいと思います。
かんしゃくが「習慣化」する仕組み
かんしゃくの始まりは、そばにいる大人に何かを伝えたいという、
小さな「サイン」から始まっています。
最初は、ちょっとしたぐずり声、泣きそうな表情、落ち着かない様子など、
小さく控えめなサインです。
しかし、大人が忙しかったり、そのサインに気づかなかったりすると、
子どもは「伝わっていないのかな?」と感じ、気づいてもらおうとして、
声が大きくなったり、身振りが激しくなって、だんだんと訴えがエスカレートしていきます。
もしも、この「サイン」が「かんしゃく」になってしまってから、
初めて大人がその要求に応じたとしたら。
そして、それが日常的に繰り返されたとしたら。
子どもは「大きな声で泣かないと(暴れないと)要求が伝わらない」と誤った学習をしてしまいます。
すると、いつのまにか、小さな訴えを飛ばして、
いきなりかんしゃくという大きな行動で訴えるようになってしまうのですね。
これが、かんしゃくが「習慣化」するプロセスです。
習慣化させないために!「サイン」は小さいうちにキャッチする
この誤った学習を防ぐためには、お子さんの訴えの前兆に気づき、早めに対応することが何より大切です。
それでは、早めの対応とは、どのようなものでしょうか。
2つの大切なポイントをご紹介します。
ボイント①:行動の変化をキャッチ!「かんしゃく予報」を利用する
言葉にされない子どもの気持ちを読み取るのは簡単ではありません。
でも、普段から以下のポイントを意識しておくだけで、子どもの気持ちの変化に早めに気づきやすくなります。
- 表情や声のトーンの変化
- 体の動き
- 不安な時に特定の「クセ」(お気に入りのものを持つ、指しゃぶりなど)
日頃からお子さんの様子を注意深く観察していると、
「なんだか機嫌が悪そうだな」「そろそろかんしゃくがはじまりそうだな」というサインを
事前にキャッチできるようになります。
子ども自身よりお母さんが先に気付いてくれたら…。
子どもにとってこれほどありがたいことはありませんね。
ポイント②:「あなたの気持ちをわかっている」を伝える
子どもは、自分の要求が通らないのは「お母さんに聞こえていないからだ」と考えます。
だからこそ、「聞こえるように大声を出す」=かんしゃくへとつながってしまうのですね。
この「誤解」を防ぐため、早い段階で「私はあなたの要求を理解している」ということを、
子どもに伝える必要があります。それが「共感」の言葉です。
「おもちゃ、まだ遊びたかったんだね」「服のチクチク、嫌だったね」
共感の言葉は、コミュニケーションがすでに成立していることを相手に示す証です。
子どもが、自分の主張が伝わっていることを理解すれば、それだけで落ち着くこともあります。
うまくいけば、「なぜダメか」「どうすればいいか」という
次のやりとりにつなげることができるかもしれません。
まとめ
今回は、かんしゃくが「習慣化」してしまう仕組みと、それを防ぐポイントをご紹介しました。
大切なのは、お子さんの「サイン」が小さい段階でキャッチすることです。
忙しい毎日の中で、子どもの様子にアンテナを張るのは、簡単なことではありませんが、
大きなかんしゃくは一旦習慣化してしまうと、修正するのに時間とエネルギーが必要です。
その間は親も子もつらいですよね。
日常の小さな工夫で、大きなトラブルを防いでいただきたいと思います。
続く第三回では、「それでもかんしゃくが起こってしまったら、どうすればいい?」という、
具体的な対応策をご紹介したいと思います。
コメントをお書きください