こころの条件反射「自動思考」:とっさに浮かんでしまう負の考え

こんにちは。カウンセリングオフィスGardenです。

 

 

「いつもどおりに話しかけたつもりだけど、相手の返事がぶっきらぼう」。

それだけで、『私が何かマズいことしたかな』と不安になる…。

 

そんな経験はありませんか。

 

悪いことをしたつもりはないのに、相手が不機嫌になったような気がして、機嫌を取ってしまう。

頭では「そんなはずはない」とわかっているのに、心の中はネガティブな考えが次々と湧いてくる。

 

今回は、誰にでも起こる心の条件反射=「自動思考」について、その正体と、それに振り回されないためのヒントをお伝えしたいと思います。

 

 

自動思考ってなに?

自動思考とは、何か出来事が起きたときに、反射的に頭に浮かんでくる考えのことです。たとえば、友達からのメッセージの返信が遅い時、とっさに「ヘンに思われたかな」と不安になったり、上司に呼ばれた時、何もしていないのに「怒られる!」と焦ったり。

 

これらは、その多くは極端で、根拠がはっきりしないことがほとんどです。けれど、その瞬間その人にとっては「絶対真実」であるかのように感じられているのです。

 

この自動思考の背景には、「私は嫌われやすい」「他人は私を責めてくる」といった、心の根っこにある「世界観」からきています。

これは、子どもの頃の経験や環境の中から学んだ「考え方のクセ」のようなもので、「性格」とはちょっと違います。

心が疲れていたり、自信を失っていたりすると、特に強く現れやすくなります。

 

 

自動思考の5つのパターン

自動思考には、いくつかのパターンがあります。

自分のクセを知ることで、「あ、これは私の自動思考だ」と、それが思い込みであることに気づきやすくなります。

 

🔲 自責感・罪悪感パターン:「全部私が悪い」

何かうまくいかないことがあった時、全て自分のせいだと感じてしまうパターンです。全部自分で引き受けようとして、自分自身を追い詰めてしまいます。

 

🔲 不安・恐怖のパターン:「失敗したらもう終わり」

将来に対して過剰な不安を抱え、最悪の事態を考えてしまうパターンです。必要以上に“守り”にこだわり、新しいことに挑戦できなくなったり、人間関係を築くのが怖くなったりします。

 

🔲 自己否定パターン:「私なんて、どうせやっても無駄」

自分自身を過小評価し、自分の能力や存在を否定してしまうパターンです。成功しても心から喜べず、自信がつかずに無気力になったりします。

 

🔲 他者優先パターン:「相手を優先しないと」

自分の気持ちや欲求を後回しにして、他者の期待に応えようとするパターンです。いわゆる「いい人」ですが、自分を大切にすることが後回しになってしまいます。

 

🔲 完璧主義パターン:「完璧でなきゃダメ」

全てを完璧にこなそうとし、ミスを許せないパターンです。自分にも他人にも厳しくなり、常にプレッシャーを感じながら生きていくことになってしまいます。

 

これらのパターンは、その人の心が作り出した“思い込み”のようなもので、現実とはズレていることがほとんどです。

その場合、実際はそれほど危機的な状況ではなくても、必要以上に緊張したり警戒してしまいます。

 

 

自動思考に振り回されないための具体的な対策

自動思考はそれまで生きてきたなかで身に着けたものなので、完全に手放すことは簡単ではありません。大切なのは、自動思考と「うまく付き合うこと」です。

そのための具体的なステップを、例を交えてご紹介します。

 

例:メールの返信が来ない時

 

自動思考:「失礼なことをしてしまったのかも」

 ↓

気づき:「あ、また“自分が悪い”って決めつけてる」

 ↓

適応的思考(修正された考え):「相手も忙しいし、もう少し待ってみよう」

 

このように、自動思考に気づくことで、湧いてくる感情に飲み込まれず、一歩引いて状況を見ることができます。それにより、客観的な思考(適応的思考)にたどり着くことができます。

 

 

そして、

自動思考を修正することに成功したら、一回深呼吸してください。

そして、その裏に隠れた自分の気持ちに目を向けてみましょう

 

「返事が来なくてびっくりしちゃった」「すぐに反応してほしかったな」など、自分の正直な気持ちに気づくことができれば、気持ちが楽になって肩の力が抜けると思います。

 

 

 

自動思考が強い時、それは心の余裕を失っているサイン

自動思考は、あなたが心が疲れているときや、頑張りすぎているときに、現れやすいものです。つまり、それは「疲れてるよ」というサインですね。

 

自動思考は、あなたがこれまでの苦労から身につけた「心の防衛反応」です。耐えきれないほどのストレスに遭遇した時の、“一時避難の場所”のようなもので、悪いばかりのものではありません。

 

ただ、あくまでも“一時的なもの”ですから、それに頼りすぎてばかりはよくありません。

 

まずは、自分のクセに気づくこと。そして、あなたを苦しめるものや人、特定の状況を、「これが私を疲れさせるんだな」と理解することから始めましょう。

 

自動思考に気づいて、それを修正する。

それを繰り返すうちに、徐々に心の器が大きくなって、自動思考に頼らずにストレスに対処できるようになっていきます。

 

自動思考に気づくことは、あなたの本当の気持ちに気づくきっかけにもなります。

自分を責めるのではなく、自分の心をひとつひとつ丁寧にケアしていくことで、きっとあなたの毎日は、もっと軽やかになると思います。