こんにちは。カウンセリングオフィスGardenです。
専門家の意見やアドバイスを聞く機会は、誰にでもあると思います。
医師や専門家からのアドバイスは、専門的で正しいとわかっていても、なんだか腑に落ちない。それよりも、ネットや知人の「私はこれで解決した!」という体験談に心が動かされる。そんな経験はありませんか?
この不思議な現象から、私たちがどんなアドバイスに納得しやすいのがわかります。
今日は、そのメカニズムを紐解き、カウンセラーがなぜ「共感」を大切にするのかを、お伝えしたいと思います。
「正しい」は大事、でもそれだけでは届かないこともある~「信頼」のふたつの形
もらったアドバイスを信じるかどうかを判断するとき、人は無意識に2つの“物差し”を使っています。
ひとつめは「専門性への信頼」です。これは、相手の専門家としての知識、経験、資格といった客観的な情報に基づいた信頼です。「この人は専門家だから、正しいことを知っているはずだ」という感覚がこれにあたります。
ふたつめは、「情緒的な信頼」です。これは、親近感や共感といった感情から生まれる信頼で、仲間意識の有無が関係しています。「この人と私は仲間だから、は私の気持ちをわかるだろう」という感覚です。
医師など専門家からのアドバイスは、多くの場合、この「専門性への信頼」によって成り立っています。専門家としての知識や経験に疑いはなく、その内容は客観的に正しいものです。
しかし、それと同時に、あなた自身の不安や悩みが「理解されている」という感覚がないと、そのアドバイスは「自分に当てはまらない」という感覚を生んでしまいまい。
多くの人がこの情緒的な信頼を求めていることは、「あの先生はよく話を聴いてくれる」「優しい先生」という言葉がしばしば病院選びの有力な口コミとなることからもわかります。
なぜ人は「情緒の信頼」を求めるのか?
私たちは、病気やトラブルなどで気持ちが弱っている時ほど、誰かに「わかってほしい」と思います。専門家の言葉が論理的に正しかったとしても、その人が自分の心の奥にある不安や心細さに目を向けていないと感じると、その言葉に物足りなさを感じてしまうのでしょう。
一方で、ネットや知人の体験談が心に響くのは、それが「共感と安心感」を与えてくれるからです。
自分と同じ状況の人がいると知ることで、私たちは仲間意識と安心感を感じます。
当事者にしかわからない具体的な苦労の共有は、自らの状況に重ねて理解しやすく、「自分ごと」として捉えることが容易になります。
専門的に正しいアドバイスと、この「情緒の信頼」がそろった時、
人は深い納得感をもってそのアドバイスを信じることができるのです。
カウンセラーは「専門性」と「共感」のバランスをとっている
一般にカウンセリングは、「アドバイスはせず傾聴する」、「共感する」と言われますが、この説明はしばしば、“カウンセリングってよくわからない”と受け取られる理由の一つになっています。
実は、私たちカウンセラーも、他の専門家と同じように、必要な時にはアドバイスするのですが、他の専門家との大きな違いは、アドバイスの前にこの「情緒の信頼」を築くことから始める、という点です。
ここまでのお話でお分かりのように、情緒的な信頼関係がないままアドバイスしても、それは相談者の共感を得られにくく、結果的にしばしば実行されないまま終わってしまうからです。
カウンセラーは、クライアントの話をただ聞くだけではありません。その言葉の奥にある感情、価値観、そして不安に丁寧に耳を傾け、あなたの苦労を共有することによって、「情緒的な信頼関係」を築いています。
この「共感と傾聴」によって築かれた信頼関係こそが、カウンセリングの核となります。
クライエントにとって、カウンセラーは“共有できる相手”となり、そのアドバイスは「自分にちょうどいい」「やってみよう!」と腑に落ちるのです。
さいごに
専門性への信頼(知識・経験)と情緒の信頼(共感)が両立したとき、アドバイスは十分に納得感をもって、私たちの行動を変える力を持ちます。
専門家とネットや知人の間で心が揺れるとき、ぜひカウンセリングを試してみてください。カウンセラーは、あなたと専門家をつなぐ、“架け橋”の役割となるかもしれません。
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